障がいのある人々やお年寄りの摂食現場は、まだまだ満足なものではありません。それは、摂食指導そのものの必要性、重要性が認識されておらず、一部研究者にゆだねられているのみで、実際の現場での指導者がとても不足しているからです。
しかし現状は、毎年のように誤嚥による事故が発生しており、摂食指導を必要としている障がいのある人や高齢者は確実に増え続けています。摂食指導は継続して取り組む根気が求められ、その効果や発達を確認するには時間を要します。そのためにややもすると日々の忙しさを理由に後回しにされがちなのです。
健常者であっても、やがては年齢を重ね、思うに任せぬ機能は摂食障がいをもたらせます。食事は生きるために毎日欠かさず行う行為です。その口から 食べる行為から、「おいしい」、「たのしい」といった満足感が生まれ、喜びにつながり、様々な機能の覚醒・改善につながっていけばというのが指導者育成の原点です。
一人ひとりの障がい者や高齢者の食事支援にかかわる多くの方々に「口から食べる喜び」ひいては「生きる喜び」の大切さを再認識していただき、摂食指導の普及に共に取り組んでいただければと願っています。
「摂食コミュニケーション・ネットワーク」は、単に食べる、お腹を満たすということではなく、食べることを通して生まれるコミュニケーションを基盤にし、『食べる喜び伝えたい』を合言葉に活動しています。障がいのある方や高齢者の一人ひとり異なる実態にどのように対処していけばよいのかを一緒に考えながら、ややもすれば怠惰になりがちな日常の摂食指導を、かかわる皆さんと共に支援していきたいと思っています。
ぜひ一緒に勉強しながら、食べる喜び、生きる喜びを伝えていきましょう。摂食コミュニケーション・ネットワークとは
障がい児・者の指導、療育、介護等に携わっている方々を対象とした『摂食指導者育成研修会』、『食事ケアエキスパート研修会』、『摂食カウンセラー養成講座』に加えて『個別事例研修(相談)』を令和元年9月から開催いたします。個別事例研修(相談)の概要